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法人成りして5ヶ月が経過しましたが突然売上が落ち込み、資金が残りわずかになってきました。個人事業主の時の水準で自らの役員報酬を高額に設定してしまったようですが、減らすことはできますか?

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個人事業主と違い、法人成りすると社長の報酬は一定額しなくてはなりません。

1.定期同額給与
 会社が役員に支払う給与については、定期同額給与に当たらなければ損金に算入されません。「定期同額給与」というのは、その支給時期が1ヶ月以下の一定期間ごとである給与で、その事業年度の各支給時期における支給額が同じ額であるもののことです。
 したがって、毎月一定額の給与でなければ経費とされません。業績連動型で支給される給与や、利益に応じた賞与については、経費として計上することが不可能です(一定の法人の場合、業績連動型役員給与を支給することが、一定の条件に該当すれば認められます)。役員給与を変更することは、事業年度の開始日より3ヶ月以内に限って認められるのが原則です。平成19年4月1日より、期中における減額改定に関しても相当の理由が必要とされていることに、留意しなければなりません。

2.期中における減額改定
次のような場合に、期中における減額改定が認められています。
(1)職制上の地位の変更、職務内容の重大な変更による減額改定
合併によって職制上の地位が変わった場合等には、増額のほかに減額も可能です。
 (2)業績悪化改定自由による減額改定
  経営状況の著しい悪化等、やむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情が存在する場合には、減額が可能です。経営状況の悪化に伴って、第三者である利害関係者(取引先、債権者、株主等)との関係において、役員給与を減額せざるを得ない事情が存在するのであれば、該当します。しかし、業績目標値に届かなかったことや、一時的な資金繰りの都合等は該当しません。
 これらの場合以外に減額改定を行ったら、改定後における額が本来の定期同額給与の額であるとみなされます。そして、改定前における給与との差額分が損金不算入となりますので、留意が必要です。仮に、最初の5ヶ月間は役員給与が120万円でしたが、減額改定を行って残りの7ヶ月間は役員給与を100万円としたとします。この場合、120万円-100万円=20万円ですので、20万円の5ヶ月分、すなわち100万円が損金不算入となります。
 このように、期中における減額改定は容易にできることではありません。役員給与を高額に設定したために会社にお金がなくなってしまうということのないよう、事業計画を作成した上で、その計画に応じた報酬を設定するといいでしょう。