1.控除できる消費税額の計算方法
課税売上と非課税売上を合算したもののうちの課税売上の割合を、「課税売上割合」といいます。
課税売上割合が95%以上である場合、非課税売上が極めて小さいということですので、支払った消費税を分けることなく、全額を控除することが認められています。
一方、課税売上割合が95%に満たない場合には、支払った消費税のうちで課税売上に対応する部分だけが控除されることとなり、その計算方法は個別対応方式か一括比例配分方式のどちらかです。
(1)個別対応方式
課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額を、次の三つに分類します。
A=課税売上にのみ対応するもの
B=非課税売上にのみ対応するもの
C=課税売上と非課税売上に共通して対応するもの
控除できる税額=A+C×課税売上割合
(2)一括比例配分方式
控除できる税額=課税仕入れ等に係る消費税額×課税売上割合
なお、この方式を選んだら、2年間以上続けて適用しなければなりません。
2.課税売上割合に準ずる割合による計算
消費税課税事業者が法人成りを行い、土地等の高価な資産を譲渡した場合、課税売上割合が95%に満たなくなり、消費税の負担が大きくなることがあります。土地の譲渡をたまたま行ったために、課税売上割合が通常の年度と比較して非常に小さくなったときに、消費税額を上記1で述べた方式によって計算しなければならないということになれば、消費税の負担だけが大きくなってしまい、合理的ではありません。したがって、「課税売上割合に準ずる割合」によって計算できることになっています。課税売上割合に準ずる割合については、原則的な課税売上割合とは違い、全事業において一定の割合を適用しなくても構いません。
ご質問のケースのように、消費税課税事業者の法人成りに伴って土地を会社に譲渡することで消費税の負担が大きくなってしまう場合は、課税売上割合に準ずる割合の適用を検討するといいと思われます。
なお、課税売上割合に準ずる割合を用いる場合、税務署に対して「課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を提出し、課税期間の末日までに税務署長の承認を受ける必要があります。