法人成りを行い、年の中途で個人事業の廃業をしたら、その年についてはそれまでと同様に確定申告が必要となります。1月1日より12月31日までの1暦年について、翌年の3月15日までに確定申告を行います。
法人成りを行うまでの個人事業の事業所得と、法人成りを行った後の会社より得た役員報酬を合算して、確定申告をすることとなります。なお、会社に対して自宅を店舗や事務所として貸し出しているなら、不動産所得も併せて申告する必要があります。
ちなみに、個人事業の最終年度における確定申告について、留意点は次の通りです。
1.売上高
その年の1月1日より廃業した日までの売上を発生基準に基づき算出します。なお、廃業した日の前日に売上があったならば、個人事業者の時期の売上として総収入金額に含めます。
2.貸倒引当金
貸倒引当金を法人に引き継ぐことは不可能であることから、全て戻入れを行います。新たに貸倒引当金の繰入れを行ってこの年の経費とすることは認められていません。
3.貸倒損失
廃業した日の属する年に発生した貸倒損失については、必要経費に計上することが認められています。
なお、個人事業の廃業を行った後に貸倒れが発生した場合については、事業の廃業を行わなければその年の必要経費にできたものを必要経費に計上することが認められています。
4.個人事業税
個人事業税については、翌年の費用として計上するのが通常ですが、廃業を行った年だけは課税見込額を必要経費に計上することが認められています。個人事業税の見込額は、次のように計算します。
個人事業税の見込額=(A±B)×C÷(1+C)
A=所得金額
B=調整金額(事業主控除等)
C=事業税の税率
5.青色申告の特別控除
年の中途で廃業を行っても、青色申告の特別控除を月割計算することは不要です。65万円か10万円の全額を所得金額より控除することが可能です。