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法人成りに当たり、知り合い数人が出資してくれるとのことですが、数年の個人事業である程度の蓄えはあります。お断りしたほうがいいでしょうか?

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1.議決権制限株式の活用による安定議決権の確保
 株式の分散によって多数の人が株主になれば、経営権が希薄になってしまいます。「株主総会における議決権」は株主の基本的な権利であって、普通株式に付与されている議決権は、1株につき一つで平等であるといえます。したがって、株を多く有するほど、経営への口出しができるということになります。
 それゆえ、安定した経営を目指して種類株式の発行を考えることとなります。種類株式というのは、議決権や配当といった点で普通株式とは違った規定のある株式をいいます。平成18年より施行された新会社法により、「種類株式制度」の活用方法が拡大されました。
 この種類株式の一つに、「議決権制限株式」というものがあります。これは、株式の譲渡を行う場合に、発行会社の承認が必要となる株式です。この議決権制限株式を用いることによって少ない自社株でも安定議決権を確保することが可能となりますので、ご質問のケースにおいてはこの株式を発行するといいでしょう。新会社法施行前には発行済株式総数の半数までという制限が存在しましたが、同法改正後は制限なくこの株式を発行できるようになっています。
種類株式を発行するためには、それぞれの種類株式の発行可能総数及び内容に関して、定款に規定します。議決権制限株式については、議決権を行使できる事項や、議決権の行使の条件を定めるのであればその条件を、定款に規定します。なお、議決権の全くない株式である「無議決権株式」を発行することも認められています。

2.その他の種類株式
現状として発行できる種類株式として、上記の議決権制限株式のほかに次のものがあります。
 (1)剰余金の配当に関わる優先株式
  会社が株主に対する配当を行う剰余金の金額や順位に関して、普通株式より優先権を有する株式です。
 (2)残余財産の分配に関わる優先株式
  会社が清算を行った際に、残余財産の分配を受ける金額や順位に関して、普通株式より優先権を有する株式です。
 (3)譲渡制限株式
  株式の譲渡を行う場合に、発行会社の承認が必要となる株式です。
 (4)取得請求権付株式
  株主が発行会社に対して株式の買取りを請求できる株式です。
 (5)取得条項付株式
  事前に決めた一定の事由が発生した場合に、発行会社が強制的にその株式を取得することが可能である株式です。
 (6)全部取得条項付株式
  複数の種類の株式を発行する会社が、株主総会の特別決議により、強制的にその株式の全部を取得することが可能である株式です。
 (7)拒否権付株式(黄金株)
  一定の事項に関して、特定の株主に拒否権を与える株式です。この株主が賛成しなければその事項を決められないことから、「黄金株」といわれています。会社の防衛のための切り札として用いられる場合があります。
 (8)選解任株式
  監査役や取締役の選任や解任に関して、議決権を持つ株式です。