友人と共に会社の設立をするケースは、少なくありません。各人の強みを活かしつつ、負担を分担して運営していくことができるという利点がありますが、共同経営には容易ではない側面もあります。主導権を握ったり、責任を負ったりする人が不在で、依存し合い、うまくいかないというケースが多く存在します。また、会社を運営していくうちに、互いの理念や方向性に差異が生じる場合もあります。
設立メンバーが各々均等に出資を行った場合において、しばらく経ってから経営に関する意見が合わなくなったときには、特に大変な状況に陥ってしまいます。株式会社においては、出資を行った額に応じて権限の強さが決まります。各人の権限が均等である場合、例えば2人対2人で対立が生じたら、何も決められない状況になってしまいます。役員の選任、解任、報酬の決定等を行うためには、過半数の同意を要しますので、対立したままでこう着状態になってしまう可能性があります。株式は、できるだけ「特定の人」に集中させるといいでしょう。複数人が出資を行って会社を設立する場合は、少なくともそのうちの1人が持ち株比率の過半数を超過するようにするといいと思われます。
創立メンバーの全員が取締役ということですが、株主とは違って取締役は比較的容易に代えることができるものの、当初はできる限り少数にして、他の人は従業員になるほうが、経営を円滑に進めることができます。
取締役は経営者であることから、労働基準法等による保護を受けることができないほか、失業保険もないといえます。また、労働者を雇用した場合にもらうことができる助成金については、取締役は対象になりません。そして、取締役に賞与を支払った場合は経費にすることができないのが原則です。これらのコストやリスクを考慮しつつ、十分に検討する必要があります。