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法人成りを検討していますが、会社といえば株式会社しか存在しないのでしょうか?

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1.会社法における会社の種類
会社のうち一番一般的であるといえるのは株式会社であって、数の面においても会社のうちの90%以上となっています。
 一般に営利目的で事業活動をする法人のことを会社と呼びますが、正確には平成18年5月より施行された「会社法」において株式会社のほかに合同会社、合名会社及び合資会社が規定されています。
 (1)株式会社
  株式会社とは、出資者である株主に対する株式の発行によって設立される会社形態のことです。出資者には、出資を行った金額の範囲内での有限責任があります。資本(出資者)と経営(社長)は分かれていて、利益については経営者が出資者への分配を行うこととされています。ただ、中小企業に関しては、株主と社長が同じである場合が大半を占めています。
 (2)合同会社
  合同会社とは、出資額の範囲内でのみ責任を負う「間接有限責任社員」のみにより成り立つ会社形態のことです。個人的に担保提供者や連帯保証人等になっている場合を除き、間接有限責任社員には出資額以上の責任はないといえます。
(3)合名会社
  合名会社とは、出資者である社員が会社の債権者に対して直接連帯責任を負う「無限責任社員」のみにより成り立つ会社形態のことです。会社法施行前は複数の無限責任社員が必要とされていましたが、同法施行後は1人のみの合名会社も認められています。
 (4)合資会社
  合資会社とは、「無限責任社員」及び「直接有限責任社員」により成り立つ会社形態のことです。直接有限責任社員は、出資金の範囲内で限定的に責任を負うものの、会社債権者に対しては「直接(無限に)責任を負う」こととされています。

2.株式会社又は合同会社が選択されるケースが多い理由
 上記の4種類の会社のうちで、合名会社及び合資会社については、出資者である社員に出資額の範
囲を上回る責任があります。経営陣が直接リスクを抱えるこれらの会社形態を選択する人は現状とし
てほぼ存在しません。ただし、設立の際の費用を抑制できる、決算広告の義務を負わないことから毎
年決算書の公表をする必要がない、事務手続きが簡単であるといった利点もあります。
 また、合同会社については、出資者には出資した範囲内で限定的に責任がある「間接有限責任」と
されているのは株式会社と同様であり、この会社形態を選択する人は存在します。合同会社は株式会
社が小さくなったようなイメージであるといえ、小規模な事業を行うのに適しています。設立費用を
抑制できるほか、決算広告の義務も負いません。
 このようなことから、会社を設立して事業を開始するに当たっては、株式会社又は合同会社を選ぶ
ケースが多いといえます。

3.合同会社の利点及び欠点
 合同会社は、広く認知されているとはまだいえないものの、最近急増しています。
合同会社の利点及び欠点をまとめると次の通りです。
 なお、会社全員の合意により、株式会社への組織変更ができます。したがって、用意できる費用の
多くない当初の時期には合同会社の設立を行い、経営が軌道に乗ってきたときに株式会社への組織更
を行うという選択肢も考慮に入れるといいでしょう。
 (1)利点
  ア.設立費用の安さ
   登録免許税は6万円です(株式会社の場合は15万円です)。また、5万円の費用がかかる公証人による定款認証が不要とされています。
  イ.利益配分及び経営の意思決定の自由度の高さ
   利益配当、経営の意思決定プロセスについては、定款に規定することで自由に決定することが可能です(株式会社の場合は、配当金額や経営参加権は出資金額に比例するのが基本です)。
ウ.ランニングコストの安さ
   決算広告の義務を負いませんので、約6万円の官報掲載費が不要です。また、役員の任期が制限されていませんので、役員変更手続きをする必要がなく、定款変更の費用が不要です。
(2)欠点
 ア.社員間の意見対立による意思決定の停滞の恐れ
  出資者は社員と呼ばれ、社員と経営者は一致します。社員全員の合意によって定款が決められ、業務遂行権についても原則として社員全員に付与されていることから、意見の対立が生じると意思決定が停滞してしまう恐れがあります。
イ.認知度の低さ
  平成18年の会社法改正により規定された新たな会社形態であることから、認知度はまだ高いとはいえず、株式会社とは信用力に差があることがあります。