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生命保険金と遺留分減殺請求について、説明してください。

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<解答>
 現在のところでは、遺留分の減殺請求の対象になりえるか否かについては、説が分かれるところになるようです。

<解説>
(1) 生命保険金は相続財産か。
 民法におきまして、兄弟姉妹を除く相続人につきましては、遺留分としまして、法定相続分の1/2の相続財産を、遺留分新会社に対しまして請求することが可能になるようです。
 しかし相続人が、民法におきまして、受取人であります生命保険金につきましては、受取人の固有の権利であって、相続財産にはあたらないとする判決が出されております。また、これが、実務におきましても通説となります(大判昭11.5.13民集15.11.877、最高裁判例昭和40年2月2日判例時報404.52)。
(注:相続税法におきましては、相続人が受取人である生命保険金については、課税の公平な立場においては「みなし相続財産」とされまして、課税されることになるようです。)

(2) 生命保険金については、民法においての「特別受益」にあたってしまうのか。
 特別受益とは、相続人の中に被相続人から生前や遺贈においての特別な贈与を受けた者がいる場合におきまして、相続の際に不公平な結果とならないためにも、これを相続分の前渡しとみなす、贈与や遺贈などの特別な受益をいうことになります。法定相続分の計算におきましては、これを相続財産に加算することになりまして(持ち戻しと呼ばれます。)法定相続分を計算することになるようです。
 したがいまして、生命保険金が被相続人から相続人に対しての特別受益となるようでしたら、生命保険金が法定相続分の計算におきまして、考慮されることになります。
 (1)の考え方に基づくと、生命保険金につきましては被相続人の固有の権利となっているので、特別受益にもなりえないと考えられております。しかし、学説・判例におきましては特別受益になるのか否かについても考えが分かれております。
 (一)否定説
 否定説につきましては、文理上、民法903条の遺贈・生前贈与にはあたらないこと、相続人の一般の意思に沿ぐわっていること、減殺請求の以後の保険金の帰属の問題も存在していることから、生命保険金につきましては特別受益にはあたらないとする説となっているようです(東京家庭裁判所審判昭和55年2月12日家月32.5.46、抗告審東京高裁決定昭和55年9月10日 判例タイムス427.159等)。

 (二)肯定説
 校庭説につきましては、学説においては相続人の間の実質的公平等の見地を重視しまして、特別受益にあたるとされる考え方になるようです。審判例においては、相続人の間の公平の観点から考えますと、遺贈と同じように考えようとする財産の無償処分とされるもの(大阪家庭裁判所審判昭和51年11月25日家月29.6.27)や、被相続人の生存中の財産から何らかの出捐(保険金掛け金の支払)があるため、被相続人からの特別受益とするもの(福島家庭裁判所審判昭和55年9月16日家月33.1.78)などが存在しており、持ち戻しを認めております。しかし、持ち戻す金額についても様々な学説に分かれております。

(3) 生命保険金が特別受益と認められる場合においての遺留分減殺請求の取り扱い
 特別受益と認められる場合において、遺留分減殺請求ができるかどうかも肯定説と否定説に分かれることになるようですが、公平の見地から考えますと、遺留分減殺請求の対象となる、というのが通説となります。遺留分減殺請求につきましては、いわゆる形成権であり、裁判上の手続きはする必要ありませんが、確実に減殺請求の意思が伝わることが重要となります。したがいまして、通常内容証明郵便が用いられることになるようです。これによりましても財産の返還がない場合においては、民事訴訟・家事調停によって法的手続きによることになります。
 減殺請求による税務手続においては、新たに財産を取得した者の修正申告・期限後申告は税務署長による決定・更正があるまでいつでも可能となるようですが、減殺請求を受けた者の更正の請求につきましては、「減殺請求があったことを知った翌日から4ヶ月以内」とされております。これは事実上不可能になってしまいますので、減殺請求が調停・和解・判決によって、解決した日の翌日から4ヶ月以内と取り扱われております。
 ただし、生命保険に関する遺留分芸才請求の対象となります金額に付きましても学説は分かれております。具体的には(1)契約者(被相続人)が死亡時に保険契約を解約したとするならば取得が可能である解約払戻金とする説、(2)保険金の金額とする説、(3)契約者(被相続人)が支払った保険料の合計額とする説、などが存在しているようです。