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同時死亡について、説明してください。

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<解答>
 夫と妻は、同時に死亡したと考えられて、妻には、夫の財産を取得する権利は存在しないことになる。子供・夫の両親も存在しないことを鑑みて、夫の法定相続人については、第3順位であります夫の弟1人になってしまうようです。

<解説>
(1) 同時死亡とは
 例をあげれば、同じ事故で、一度に複数人が亡くなってしまった場合におきましては、その数人の中で誰が、いつ亡くなったかと推測することは困難になってしまうため、このようなケースにおきましては、その数人は同時に亡くなった、と民法においては推定することになっております(民法32の2)。

(2) 相続人の取り扱い
 「同時死亡」と推定されることになりますと、同時死亡者間では、相続は発生しないことになっているため、「同時死亡」した者については、相続人とはなりえないことになります。したがいまして、設問の例におきましては、夫の財産につきまして、法定相続人は、夫の弟ただ1人になってしまうようです。
 また、妻の財産につきましても、同様に、夫については相続が不可能になってしまうことから、法定相続人については、妻の兄1人になってしまうようです。
 もし、同時死亡の推定が覆るようなことがあって、例えば夫が先に死亡したことが判明した場合につきましては、夫の相続人は妻と夫の弟となって、妻の相続が行われた夫の財産につきましては、妻の相続人である、妻の兄が取得することになります。

(3) 死亡給付金の受取人については、誰になるのか?
 死亡給付金につきいては、一般的に、契約もしくは約款で死亡給付金の受取人が指定されていることもありえるため、民法においての相続財産にはあたらないことに留意しなければならないでしょう。
 それでは、このケースにおいての例をあげると、生命保険契約の契約者・被保険者が夫、指定受取人が妻の場合において、妻と夫が同時死亡となった際には、死亡給付金を受取る権利が誰にあるのかというのはいくつかの解釈が存在していたようですが、2009年6月2日最高裁判決におきましては、死亡給付金を受取る権利が存在しているのは妻の兄である、と判断されました(事件番号平成21(受)226)。

(4) 最高裁判決の主旨
 保険事故発生の場合、つまり被保険者の死亡時においては、死亡給付金の指定受取人がすでに亡くなっていた場合におきましては、その指定受取人の法定相続人、もしくはその次順位の法定相続人が受取人となることになりますが、その受取人については被保険者が死亡した場合に生存していた者に限られてしまいます。
 このケースにおいては、夫は民法32条の2によって、妻と同時に死亡したと考えられることになり、指定受取人である妻の法定相続人にはなりえないことになります。夫が法定相続人には該当しないことを鑑みて、夫の弟も次順位の法定相続人には該当しないことになります。したがいまして、指定受取人の法定相続人につきましては、妻の兄のみとなりまして、妻の兄が死亡給付金を受取るものと判断されました。